茜ヶ久保マリネの若気の至り
こうなってしまえば、最早クラーケンに生半可な魔法や技は通用しない。

只でさえあの巨体なのだ。

それ相応の生命力を持っている筈。

それに加えて再生能力となったらもう手がつけられない。

「…周囲の海域にまで影響を及ぼすから、あまり使いたくなかったんだけどね…」

私は意を決して、ヒュンと海刀神を逆手に持ち替え、その柄を両手でしっかりと握り締める。

「リヴァイアサン、海中にいる以上あんたにも多少影響を与えてしまうけど…勘弁してよね」

「…心得た」

リヴァイアサンがクラーケンの尾に食らいついたまま頷く。

「茜ヶ久保マリネ…貴様も一時は人魚の国を統率する女王だったのだろう?引き際が肝心だと思うがな」

人魚の血肉を得た事で再生能力を得た。

たかがそれしきの事で、クラーケンは勝ち誇ったように笑う。

「言ってなさいよ」

私は海の底深く…海底の地面に切っ先がつくまで潜る。

そして、魔刀を掲げたまま詠唱を始めた。

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