プリンセスの条件
「別に気にしてないけど?翔太のことなんて」
精一杯の強がり。
本当は今この瞬間だって、耳はしっかり後の会話に集中しているくせに。
「別に翔太くんのこと、なんて言ってないけど?」
「ケホッ!ケホッ!!」
アイスティーが変なところに流れ込んで、思わずむせた。
「あーあー、何やってんの!いつも男を掌で転がしてるマイが、なんか……ただの女の子に見える」
「なッ!どういう意味!?今まであたしのこと一体何だと思ってたわけ!?」
「んー、ビッチ?」
一番の親友のくせに、なんて言い草!!
ジトッという目でミサトを恨めしく見ていた時。
「ねー、翔太って本当に彼女いないの?」
後から、あたしでは知ることができない情報が流れ込んできた。
パスタをフォークに巻きつける手が、自然と止まる。
楽しそうに笑ってあたしを見ているミサトなんて、今は気にしてられない。
ゴクリと喉を鳴らして、翔太の言葉を待った。
「そんなこと興味ある?」
「あるある!だってこの前さ、翔太の部屋から朝帰りしてる女見たって誰か言ってたし!ねぇ、どうなわけ!?」