プリンセスの条件

マイが初めて恋をしたのは、小1の2学期。

相手は隣のクラスのサッカー少年。

名前は倉本龍之介。


『マイ、龍くんと結婚する!!』


手を繋いで一緒に下校している時、突然マイがそう言って目を輝かせた。


『マイはオレと結婚するんだろ』

『えー?なんで翔太とぉ?』

『マイだって言ったじゃん。結婚するって』

『あれは劇の中のお話でしょう?』


マイはしかめっ面をして、『龍くん』を連呼した。


このままじゃ、オレのマイが龍くんに持って行かれる!!


そう思ってかなり焦って。


『龍之介なんてダセェ名前』


龍之介を否定する言葉ばかりを口にした。


『何よッ!翔太だって、ダサイじゃん!』

『龍之介よりマシだ』

『翔太なんて、犬みたいじゃん!』

『はぁ!?』


けっきょくマイは、倉本龍之介を小1の3学期までずっと想い続けたけれど、アイツが親の都合で転校してくれたおかげで、マイを奪われずにすんだ。


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