プリンセスの条件

「よし、なんとか間に合ったか。ほら、早く座れよ」


ストンと椅子に座らされ、シャンパンの入ったグラスを持たされた。


「10、9、8、7……」


カウントダウンを始めた翔太。


何をしようとしているのかやっと理解できて、嬉しすぎてフライングで涙が溢れた。


「まだ泣くな!……3、2、1……。マイ、21歳の誕生日おめでとう」


カチンとグラスを合わせてニッコリ微笑む翔太の顔を見ると、それだけでもうあたしの心は幸せでいっぱいに満たされて。

せっかくのご馳走も目に入らない。


翔太のこの笑顔が、一番嬉しいプレゼントだから。


あたしはグラスを置いて、翔太の元へ駆け寄って、勢いのまま抱きついた。


「翔太ぁ!!」

「せっかくの誕生日なのに、笑えよ」

「笑え…ないよ……ッ」


こうして大好きな翔太と迎えられた誕生日が、21回の誕生日の中で一番幸せな時間。


次の誕生日も、次の次の誕生日も、ずっとこれから翔太と2人っきりで迎えたい。


プレゼントもケーキもご馳走も、何もいらないから。


ただ一緒に笑って過ごす時間がほしい。


そう思えたのも、翔太が初めてだったんだ。


あたしが願っていた幸せは、ここにあるのかもしれない。


……翔太の側に。


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