プリンセスの条件
「ケーキ食べるぞ、マイ。ろうそく消せよ」
「やだ。こんな時間に食べたらデブるもん」
「いいだろ、別にそんなこと」
「よくないよ!!あたしがブクブク太ってきたらどうすんの!?翔太だって、そんなあたしのこと見捨てるくせに!!」
「オレはどんなマイでも好きでいられる自信あるけど」
サラッとそんなことを口にする翔太。
付き合い始めてから突然、甘いセリフをさりげなく口にするようになった翔太に、あたしはペースを乱されっぱなしなんだ。
「ちょっと!翔太、キャラ変わり過ぎでしょ!?」
「なにが?」
「前はいつだってあたしに冷たかったくせにッ!」
「どこがだよ……」
「そんな歯の浮くようなセリフ、聞いたことない!!」
「オレは言ったけど、お前が聞いてないだけだろ」
「え……?」
翔太はお皿とナイフを取り出して、ケーキを器用に切り始めた。
「はい」と渡されたお皿を手に取り、そのままフリーズ。
翔太がさっき言った“オレは言ったけど”という言葉が頭をグルグルと回る。
言ったって、何を?