プリンセスの条件
「お前、そんな泣き虫だったか?」
「違うよ。……翔太があたしを変えたんだもん」
翔太だけが、あたしの心を悲しくも幸せにもできるんだ。
「あたし、翔太だけのお姫様になりたい」
「まだ言うか、そんな夢見がちなこと」
「だって小さい頃からの夢だもん!!」
「つーか、もうなってんじゃん」
「え?」
「夢、叶ってんじゃん」
それは、翔太のお姫様はあたしだけだって、翔太も思ってくれてるってこと?
ジッと翔太を見つめていると、思い出したように、翔太がポケットからピンク色にラッピングされた小さな箱を取り出した。
「はい、誕生日プレゼント」
「……もう、いらない」
「え?」
「もうあたし、こうして翔太がいてくれれば、これからずっとプレゼントなんかいらない!!」
そう叫んでもう一度翔太の胸に飛び込んだ。
「だから……ずっと、側にいて……」
「マイ……」
翔太はあたしの名前を呼んで、両手をあたしの背中に回し、そっと頭のてっぺんにキスをした。
そして、あたしの顔を持ち上げ、
「泣きすぎ」
と、優しく笑ってあたしの瞼にキスをした後、息もできないほどの激しいキスを唇に落とした。