プリンセスの条件
夢中で愛し合って、求め合って。
気がついた時には、空は明るくなり始めていた。
「大丈夫か?マイ」
サラッとあたしの髪の毛に指を通しながら、翔太があたしの顔を覗きこんで、
「ミサトちゃんのプレゼントが役にたったな」
なんて言って笑う。
「やだッ!もう!!」
恥ずかしくて両手で顔を覆うと、翔太がケラケラと笑って、
「ミサトちゃんに感謝だな」
と言いながらあたしをからかい続けるから、思いっきり急所を蹴り上げてやった。
「う…ッ…」
翔太がピクピクと身体を震わせて、あたしを涙目で見上げる。
「お…まえ……」
「ベーッ!翔太が悪いんだからね!ぜったい謝んないッ」
つい数十分前まで男と女だったあたしたちも、いつの間にかただの幼なじみに戻っていた。
布団を奪い取って頭から被って翔太に背を向けると、暗闇でも左手の輝きが目に入って、じんわりと心が温かくなってくる。
あたし、翔太のお嫁さんになれるんだ……。
嬉しくて嬉しくて、その指輪に何度も何度もキスをした。
だけど、ある大切なことに気付く。