ホタル
それだけは嫌だった。
何をなくしても、あの笑顔だけは失いたくなかった。
そのためなら、何度だってこの想いに蓋をする。
一生でも隠し通す。
どんどん大人びて魅力的になっていく裕太。
恋人ができるのも時間の問題だ。
あたしは多分、そんな裕太の幸せを心から喜べない。
そこまで、大人になれない。
そしてあたしの幸せは、絶対に裕太を不幸にする。
あなたの幸せがあたしの幸せだって、そう言えるならどんなに幸せだろう。
どんなに、幸せだろう。
……………