ホタル
裕太は振り向いて、そしてあの、落とすような笑顔を向ける。
差し出した裕太の手には、封のあいたマイルドセブンがあった。
「マルボロ、頂戴」
笑顔でそう言う裕太に、あたしは戸惑いながらも一本だけ吸ったマルボロを渡した。
裕太が受け取る瞬間に少しだけ指が触れて、あたしの息は止まりそうになる。
「ありがと」
それだけ言うと、裕太は振り向いて行ってしまった。
整理できてない思考回路のまま、あたしは手にしたマイルドセブンを見つめる。
…どうして裕太が、ここにいるの?
一番単純な疑問さえわからないまま、突然すぎる再会にただ戸惑いを隠せずにいた。