ホタル
「中川には…恋人がいたんだ。彼女、中川がいなくなってから一時期、生きる気力をなくしてて…俺が中川の代わりにならなきゃって、支えなきゃって、ずっと思ってて…でも、彼女が立ち直って、他のみんなも立ち直って、そしたら俺…空っぽになった」
落とす様に話す裕太の言葉を、あたしは全部拾い上げた。
ひとつ拾う度に、胸が締め付けられる。
「空っぽになって、何も考えたくなくなって…単純に、頭に浮かぶのが朱音だった」
力の入ってなかった裕太の腕に、力が入る。
「朱音に、会いたかった」