ホタル
静かな夜に落とされたその言葉は、確実にあたし達の三年間を溶かしていった。
何度も何度も圧し殺した感情。それらはまるで、生きていたかの様に簡単に胸の内へと戻ってくる。
感情が、想いが、愛しさが。定位置へ戻っていき、あの押さえきれない息苦しさを呼び戻す。
最初に泣いたのは、あたしだった。
「…裕太」
きつく裕太を抱き締める。何かを堪えるかの様に、裕太もきつく抱き締め返した。
「泣いていいから。ここなら泣けるでしょ?…好きなだけ、泣きなさい」
…声を出さずに、裕太は泣いた。
裕太のこの涙を、あたしはどれだけ見ていなかっただろう。
裕太の涙があたしの胸に染みる度、固く閉じたあたしの瞼から同じ涙が溢れる。
そうやってあたし達は、泣いてきたのだ。
夜は静かに流れた。
その穏やかな流れが、裕太の心に優しく響いて欲しい。
裕太に抱かれながら、あたしはただ、それだけを祈った。