ホタル


スーパーで食材を買って、一度家に戻った後、再びあたし達は青空の下に戻った。

眩しい日射しが二人の影を伸ばす。

汗ばむ程暑くはない気温が、あたし達を自然に寄り添わせてくれた。

あんなに怖かった真昼の空が、こんなに二人に温かいだなんて。

「そっち、美味しい?」
「カシス。裕太嫌いでしょ?」
「最近好きになってきた」

そう言ってあたしの手に握られたソフトクリームに軽く口をつけたが、やっぱり表情は微妙だった。思わず顔が緩む。

「ほら、苦手だ」
「お酒はいけるのにな」
「こら、未成年」

今更だろ?裕太も笑いながら、自分のソフトクリームで口直しをした。


「ねぇ、誤解されない?」

裕太がコーンをかじった。パラッとコーンくずが翠の芝生に落ちる。

「何が?」
「こういうとこ見られたら、あの人にさ」

裕太の言う『あの人』が誰を指しているのかはすぐにわかった。
あたしはソフトクリームを食べるのを止める。

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