ホタル
「言ったでしょ?鈴川君とはそういう関係じゃないって」
「でもあの人は、朱音のことが好きだよ」
裕太が断言することじゃないのに、裕太はきっぱりと言った。
あたしは視線を落とす。
鈴川君には、何度か告白されていた。でもあたしは応えるつもりはなかったし、彼もそれをよくわかってる。
どうにもならないことだって、わかってる。
耳に、川の流れが聞こえた。
「…あたしが好きなのは、裕太だから」
どうして今までこれが難しかったんだろう。
素直に、自分の気持ちと向き合えば、すぐにわかったこと。
素直になって、何がいけないの。
二人の間に川に乗ってきた風が流れた。
裕太はあたしに、そっと口付けた。
それは、一瞬で永遠の幸せ。
「…溶けちゃった」
「あーあ」
二人の手に伝う溶けたソフトクリームが、なんだか無性に愛しかった。
愛しくて、痛かった。