ホタル
……………
裕太が煙草を吸いたいと言った時、戸惑いの中に確かに喜びがあった。
最低だと思うかもしれないけど、どこかで嬉しいと思う自分がいたのだ。
同じ煙草。
同じ煙。
同じ秘密。
裕太が煙草を吸うことで、裕太をあたし色に染めれるんじゃないかって、残酷で忌まわしい思いが頭を駆け巡った。
そんな自分最低だってわかってるけど、どうしようもなくそれを求めてる自分がいることも確かで。
煙草を吸う度に、裕太の煙を思い出す。
裕太は大人の味だと言ったけど、あの日からあたしにとって、煙草は裕太の味だった。
残酷な、罪の味。
『いけないことなんだから』
あたしのこの想いの、赦されないことの証。
……………