ホタル
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風は意外に冷たかった。3月といってもまだまだ冬は抜けてない。温暖化はどうした。
「温暖化を馬鹿にしちゃいけないでしょ。地球はもうヤバいんだって」
隣で英里がライターをつけた音がした。
フェンスから空を臨んでいたあたしも煙草の煙を吐き出し、座って煙草をふかす彼女に視線を移す。
「......英里、それ前から見たらパンツ丸見え」
「誰も来ないって。今ジャストで式中でしょ?」
「見たい奴には見せてやるよ」、ケケッと笑う英里は、これ見よがしに股を広げた。
今までの話からは想像できないかもしれないが、英里は相当な美少女だ。
長いウェーブのかかった茶色い髪に、目の上で揃えた前髪。
黒々とした瞳は可愛さを連想させるが、キリッとした目尻が可愛いというより美人なイメージを引き立たせていた。
あたしと負けず劣らずの長身と九頭身の小顔が、校内でも有名な英里。これ程がさつでも男子に大人気なのは、その美貌と飾らない性格からだろう。
でも、英里への想いが叶う男子は、この学校には残念ながらいない。