ホタル
英里が合コン三昧の日々を送る理由もわかってた。春休みに別れた彼氏が原因だろう。
英里も辛いんだと思う。眉をきゅっと寄せ子犬の様に黒々とした瞳を向けられると、断るものも断りきれない。
あたしはふぅっとひとつ溜め息をつき、しょうがなさそうに言った。
「わかったよ。今日だけだからね」
「ほんと!?やったぁ!!」
ついさっきまでのあの寂しそうな瞳はどこえやら、思い切り手を上げていつもの英里のテンションで叫ぶ。
......このやろう、演技かよ。
「ていうかね、もう朱音来るってメールしちゃったんだよねぇ」
「は?」
「なんか向こうがメンバー知りたいみたいで、写メ送っちゃったの!」
「はぁ!?」
「そしたら向こうの人が朱音気に入ったみたいでさ、この子は絶対連れてきてねって!」
......返事をする気も失せていた。ほぼ強制参加になってんじゃん。
「英里ねぇ、勝手に......」
「大丈夫大丈夫!相手はあのY高生だよ!?しかも朱音の好きな年上!3年生!!」