ホタル
ニコニコ笑う英里を見ながら、「別に年上好きなわけじゃないんだけど.....
」と呟いた。
再び大きな溜め息をつきながら、それでもこのタイミングで行く意味はあるかもしれないなと、思い返していた。
窓に目を向け、桜と向かい合う。
新しい季節。
新しい学年。
何かが始まる春。
今度こそ本当に、裕太を忘れなきゃいけない。
「もしかしたらこの想いを消してくれる人がいるかもしれない」と、小さな思いを桜に託した。
いつもの様に。
性懲りもなく。
......桜の花びらの色が2人の首元を彷彿させ、その赤い跡に首を締められる幻想を、見た。