ホタル
早速退屈をはじめていた所に、いきなり声をかけられた。隣に腰かける男性を見ながら2番目に自己紹介した人だと気付く。
「お酒飲まないの?」
「はぁ…...別に飲まないわけじゃないんですけど」
「じゃあ1杯だけでも飲みなよ」
笑顔でそう言った彼は通りがかりの店員に「すみません、カルーアミルクひとつ」と注文した。あたしがいつも1番始めに頼む飲み物だ。
驚いた顔で見ていると、彼は「カルーアミルクなんでしょ?いつも」と微笑んだ。
「英里子ちゃんから聞いた。朱音ちゃんでいいんだよね?」
「あ、はい」
「俺、深見。深見翔。朱音ちゃんを絶対呼んで欲しいって言った奴」
こういう時、あたしは何て言えばいいんだろう。英里なら上手く言えるのかもしれないけど、あたしはそんなに恋愛に関しての語彙は持ってない。
戸惑ってるのがわかったのか、深見さんは「なんてね」と軽くながし、「せっかくだから色々話そうよ」と間を積めてきた。
多分彼は、自分に自信があるタイプだ。