ホタル


「朱音ちゃん、大人っぽいよね」
「そうですか?」
「うん、今日の服もよく似合ってる」

学校が終わり、家より近い英里の家で着替えた英里の服だ。ミニスカートにロングカーデ。気合いを入れたつもりは全くない。

「落ち着いてるってよく言われない?」
「そうですね。英里といれば必然的にそんなキャラになっちゃうかも」
「あはは、そっか」

深見さんが笑ったと同時に、あたしのカルーアミルクが届いた。深見さんが受け取りあたしの前に置いてくれる。

「じゃあとりあえず乾杯する?」
「何にですか?」
「何だろう。とりあえず今日の出会いにでいいんじゃない?」

グラスをカツンと合わせながら、あぁ、苦手なタイプかもと思った。思い切り主導権を握られそう。身動きができないみたいで辛い。


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