双子とあたし。
俺はそっと横目で薫ちゃんを見た。
――――あ。
そこには、さっきあれほどけいちゃんの試合を元気よく歓声を上げて応援していた薫ちゃんじゃなかった。
ドキドキハラハラしながら、試合の行く末を見守っている。
その瞳はまるで……――――
好きな人を見るかのような…。
「薫、ちゃん…」
俺はそれが信じられなかったから、彼女の名を呼んだ。
彼女をそこから引き戻したかった。
「ん?何、英介くん?」
薫は元の顔に戻っていた。
――――…よかった。
俺は心の中でほっと安堵する。
「この試合、接戦だよ!瞬きもできないや!」
薫ちゃんは興奮ぎみに言う。
「―――――…ねぇ。もう行こうよ。」
「…え、英介くん?」