双子とあたし。
【悠太がボーカル】という言葉が何度も繰り返される。
とても信じがたいことに、あたしはただ驚くことしかできない。
「何?そんなに俺がボーカルで不安なの?」
「ふ、不安じゃないけど…。―――…驚き?」
あたしの曖昧な言葉に悠太はふっと笑った。
「確かに。俺も驚いたよ。」
「あ、俺もー。」
悠斗も手を挙げて答える。
言葉のわりに、さほど驚いた様子が見受けられない。
「つか、今知りましたよ悠太君。」
「あれ?言ってなかったっけ?」
言われてません、と悠斗が両腕でバツ印をつくった。
「―――…ね、何を歌うつもりなの?」
あたしが知ってる曲がいいな、と期待をよせる。
「あー。自作なんだよね、今回は。」
「自作?」
「うん。四人分のを作るんだ。一人ひとりの思いを詞と音にのせてね。」
輝いた悠太の顔を悠太に見せてあげたいよ。
悠太はね、今すごくいい顔をしてるんだよ。