双子とあたし。
あたしはそれが何より嬉しい。
悠太に見つけたいものができたのなら、あたしはそれを全力で応援するまでだよ。
「悠太の曲は決まった?」
悠斗が悠太に尋ねてきた。
「まぁ…、ぼちぼちとなら」
あまり聞かれてはまずいのか、悠太はお茶を濁したように曖昧な返事をする。
でも、悠斗はそれに気付いているのか気付いていないのか、質問攻めを続ける。
「悠太君、テーマはなんですかぁ?」
「て、テーマって…」
「どんな思いで書きたいですか?」
「いや…、もう書き上げたんだけど。」
「今歌ってくれますかぁ?」
「え…。」
「つか、なんで教えてくれなかったんですかー?」
「あー。それ…―――」
「あとあとー…」
「いや、聞く気ないでしょ?悠太の返事!」
このまま続けたらきっと永遠にやっているだろうと思ったので、一応あたしがツッこんだ…のだが。
「薫さあ、ツッコミが遅いよ。俺をいつまでボケさせるんだよ。」
「え、遅い?」
あたしは適確なタイミングだったと思ったんだけど…。