【完】白い花束~あなたに魅せられて〜


『ねぇ、翔』


「ん?」


『明日学校なんだけど、今日…』


「あぁ。大丈夫。明日は午前中オフだから」



泊まっていい?と聞く前に返された言葉。
穏やかに笑って私の頭を撫でる翔は、やっぱり私を安心させてくれる。



その答えをきいて、榎本さんに“翔のマンションで”とメールを送っておいた。



「…榎本の演技指導ってどんな感じなんだ?」


『え?』



いきなりフられた話題は榎本さん。



「いや、ちょっと気になって…な」


『うーん?スパルタだよ。ほら同じ“笑う”でもいろいろあるじゃん?そういうのを実演しながら教えてくれる。…あとはどんな気持ちでっていうのも…』



静かにカクテルを飲みながら聞く翔の様子が、どこかおかしかったとこの時私は気付くべきだったんだ。


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