【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
「泉。今プライベートだからアッチ行ってろ」
スッパリと一刀両断した翔は杏里ちゃんに背を向ける。
それに少し嬉しく思いながら、ジっと彼女を見ていた私と目が合った杏里ちゃんは
「あ!NASの仁菜さんだぁ!」
そう言って私に可愛いらしい笑顔を振りまいた。
私もそれにつられる様にして、営業スマイルを浮かべる。
「ね!杏里ここいいですよね!?」
明らかに私が座る席を指差して、コテンと首を傾げた杏里ちゃんに一瞬言われた意味がわからなかった。
『…え?』
「だって杏里、翔君とお話ししたいからぁ…」
少ししゅんとした表情を浮かべて、目線を俯かせる杏里ちゃんはまぁ、可愛いと思う。
…思う、んだけど。
言っている事はかなりの我が儘。
「仁菜さんは、翔君とどんな関係なんですかぁ?別にカレカノじゃ…「…おい泉」」
杏里ちゃんの言葉を遮った翔は「いい加減にしろよ」続けた。