【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
『…ん』
肌寒く感じる身体。腕を伸ばして温もりを求めれば、暖かい場所へと落ち着く。
「…誘ってんの?」
『…………ん〜…?』
パシッと掴まれた腕に、うっすらと目を開ける。
「はよ」
ニヤリと妖艶な笑みを浮かべた翔と私は、隙間がないくらいの至近距離だった。
気付けば私は翔に抱き付いていて、彼は暑いのかなんなのか、上半身裸。
『………』
「仁菜…?」
余裕たっぷり笑う翔に、何故か悔しくなってしまった私は、ぎゅうっとその胸に頭を埋めた。
『…おはよう』
その声はくぐもったものだったけれど、トクントクンと少し早い、音。
私だけが、ドキドキしているわけではないと語る翔の鼓動に安心して、起き上がった。
「カフェオレ飲むか?」
『うん』
飲み慣れたカフェオレを受け取って、用意をしていると鳴り出した携帯。