【完】白い花束~あなたに魅せられて〜


着信は榎本さん。



時刻は午前8時。



電話に出ようとした私の手から、スルリと携帯を取り上げた翔は「はい」勝手に電話に出てしまった。



「あぁ」とか「ふざけんな」とか言う翔は一方的に電話を終えて、私に携帯を差し出す。



『…翔?』



とりあえず意味がわからなくて、ソファーに座ったまま彼を見上げる。



翔は「榎本着いたらしい」言って、私の腰に白のカーディガンを巻き付ける。



『…暑いよ』


「スカート短ぇ」



青いシャツに、紺のスカート姿の私がどうやら気に食わないらしい翔。



『制服だよ』と呟けば「知ってる」の答え。



それにクスリと笑って、そんな事を口にする翔に、嬉しいと思ってしまう自分がいた。


< 295 / 410 >

この作品をシェア

pagetop