【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
着信は榎本さん。
時刻は午前8時。
電話に出ようとした私の手から、スルリと携帯を取り上げた翔は「はい」勝手に電話に出てしまった。
「あぁ」とか「ふざけんな」とか言う翔は一方的に電話を終えて、私に携帯を差し出す。
『…翔?』
とりあえず意味がわからなくて、ソファーに座ったまま彼を見上げる。
翔は「榎本着いたらしい」言って、私の腰に白のカーディガンを巻き付ける。
『…暑いよ』
「スカート短ぇ」
青いシャツに、紺のスカート姿の私がどうやら気に食わないらしい翔。
『制服だよ』と呟けば「知ってる」の答え。
それにクスリと笑って、そんな事を口にする翔に、嬉しいと思ってしまう自分がいた。