【完】白い花束~あなたに魅せられて〜


翔に見送られて、地下駐車場へと向かえば見慣れた車。



ドアを開けて乗り込めば「ガキ」開口一番、何故か榎本さんに貶された。



訝しげに榎本さんを見れば「お前に言ったんじゃねぇ、翔にだ」意味不明な事を言う。



『榎本さん?』



ゆっくり発進した車は、地下駐車場を抜けて、今日もどんより空が広がる道路を走る。



「カーディガン」



昨日よりかは幾分、雨足の弱まった感じがするなと思いながら、窓の外に向けていた視線を彼に向ければ



榎本さんは視線を前方に向けたまま、私の腰に巻かれたカーディガンを指差している。



それで、彼の言わんとしている事がやっとわかった。



カーディガンを巻く翔にガキだと、言っていたらしい。



私も言葉が足りない節があるかも知れないけれど、翔と榎本さんは私を遥かに超えた言葉足らずだと思った。


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