【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
相模涼(さがみりょう)21歳。
社長の息子でありガミさんの弟。
ガミさんとは半分血が繋がった、いわゆる異母兄弟ってやつらしい。
たれ目な所がガミさんにちょっと似た今時の若者。
いつも一つに束ねられている茶金の長めの髪は、夜だからか今は下ろされていた。
なんか前妻との間にできたのがガミさんで、後妻との間にできたのが涼って聞いた。
『…だって、私と涼は』
「“男と女”だろ?」
私の言葉を先に紡いだ涼は、私が何を言うのかわかったらしい。
満足気に微笑む涼は私の頭を小突いて今日も妹扱い。
私が決まって涼に言うセリフ。
“私と涼は兄弟じゃなく男と女”
初めて会った時から私と涼は男と女だった。
ガミさんは姉として見れるけど涼は…無理。
兄なんて安心できるカテゴリじゃない。
それは私が“男”という生き物をどこかで怖いと感じているからなのかも知れない。
でも涼との付き合いが長いのも事実で、ガミさん程ではないけど甘えられるのも事実だった。