【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
「なんかあったんだろ?」
『……』
「お前がここに泊まるって時はだいたいなんかあった時だろ?」
『……ん』
やっぱり“妹扱い”してくる涼には甘えられた。
“男と女”なんて自分で言っておきながら涼は私に“男”を感じさせない。
そんな涼がいい。
涼が本当の兄で、ガミさんが本当の姉ならいいのにと何度も思った。
『………Quartetの大河…“男”で嫌だ』
ぽつりと呟いた声は私と涼しかいないバスルームにやけに響いた。
「で?」
『キスシーンとかフリでも嫌だ』
「で?」
『…私を“そういう”対象に見るのもやだ』
「で?」
『…………もういい』
で?しか言わない涼は「親父もかなり抗議したらしいぞ?千夏さんに聞いただろ?」と言って最後に「俺は聞く専門だからな。あんま溜め込むなよ」と言ってバスルームを後にした。
…わかってるよ。
社長がそんな事させたいわけじゃない事くらい。
涼が聞き出してくれて、初めて私がいろいろ吐き出せる事も。
…一番ガキなのが自分だって事も。