【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
ココナッツの香りが漂うバスルームは、私に一時の安息をくれる。
さっと髪と身体を洗って無駄に広い湯船に肩まで浸かって、両腕をバスサイドに乗せる。
真っ白の天井に視線を向けて冷えた身体を温めた。
自然と出てくるのは安堵の溜め息。
…落ち着く。
そのまま瞳を閉じていれば聞こえてくる話し声に、不審に思って再び瞳を開けば、目に留まるのは一つの画面。
それは長風呂のガミさんがどうしても、と言って付けたらしいお風呂用のTV。
どうやらバスサイドのスイッチを腕で押したらしい…
その画面から流れる映像には、私がさっきまで一緒にいた奴らと紛れもない自分の姿。
深夜枠のドラマ“プリメーラ”だった。