想い、果てるまで
「次!武田…」
全員のタイムを聞いたが、紫波に勝る者は居なかった。
そりゃそうだ。
私は5秒代の人を初めて見た。
ほんとにこいつ高1か?
…見た目で言えば中3だけど。
「じゃあ走順は、――――――――…で皆いいか?」
私は6人中第4走者だった。
女子の3年生の榎木先輩から受け取り、紫波に渡すらしい。
ちなみに榎木先輩は副団長で、アンカーは団長だ。
「えー…と、じゃあ後は自分の前後の人とよく話し合っておいて、あと…」
それまで騒がしかった教室は、空気の変わった団長の声でしんとする。