想い、果てるまで
……凄い………
先輩と他の団の選手との差が、どんどん縮まっていく。
先輩はというと、凄く苦しそうな表情をしている。
あぁ、さっき諦めかけた自分を殴ってやりたい。
そうだ、私は先輩たちに優勝を届けたいんだ。
自分のプライドの為にじゃなくて、先輩たちの為に。
他人の為になんて、久し振りに思った。
ほんと、つくづく小さい女だな自分。
「新井さん!!」
先輩の姿がだんだん近づいてきた。
越せはできなかったけど、ここまで差を縮められたならもう十分だ。
「お願い!!新井さん!!」
バトンが先輩の手から私の手へと受け渡される。
「任せて下さい」
越してみせる。
負けるなんて冗談じゃないわ。
私を負かしていいのは、あいつだけなんだから。