ハルジオン。
「待てって!」

「うるさい馬鹿ッ!ついてくんな!」

「……悪かったよ」

「……」

「なあ」

「うるさい!」

「アキト」

「気易く呼ぶな!」

アキトは鼻を袖で拭い、脇目もふらずに歩いていく。

「分かったって」

「分かるもんか!」

ポケットのトランプを握りしめ、どんどん足を速めていく。

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