ハルジオン。
「ここだよ!たっちゃん」

神社に着くと、すでに靖之がショベルを片手に鳥居の前で待ち構えていた。


「久しぶり。元気そうだね。来てくれるって信じてたよ」

「ああ。近道したつもりが遅くなった」

すまん。
と達也が大してすまなそうにもない様子で肩をすくめると、

「いいよ」
と靖之は笑って言った。

達也はそれが可笑しくて、つい靖之から目を逸らした。

いつもそうだ。

靖之はいつだって、達也が何をしたって、たった一言「いいよ」と言って笑うのだ。

変わってない。
何もかも。

この町も靖之も。

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