ハルジオン。
「行くぜ、アキト」

「行くって……まさか」

「空だよ空。夜空を飛んであの螢の泉に行くんだよ」

「はあ?」

アキトは目を見開く。

「あのさ、何度も言って悪いけど、オジサンほんと馬鹿だろ?」

「まあな」

達也は声を上げて笑った。

「お前も見たろ。枝葉は浮いた。つまりはそう言うことなのさ」

「そう言うことって?」

「行けると思えば行けるし、落ちると思ったら落ちる。それがこの森の正体だ。飛べると思えば……」

「……飛べる」

「正解」

呆れ顔のアキトに向かって、達也がびしっと指を指す。

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