ハルジオン。
アキトに説教をくれてやりながら、達也は靖之のことを思い出していた。

いつもついてくる靖之。

世話焼きで、お節介で。

鬱陶しいと思ったこともある。

けど、

靖之の言葉に、笑顔に、何度救われたことだろう。

どんな無茶なことを言ったって、アイツはたった一言、「いいよ」と言って微笑んでくれた。

百合子もそう。

いつも自分を見ていてくれた。

あの日、列車でこの街を出た時、何も言わずに家を出たはずなのに、潜水橋の上に百合子はいた。

なのに自分は……

< 188 / 339 >

この作品をシェア

pagetop