ハルジオン。
「言ったろ。お前、昔の俺とそっくりなんだよ。俺の親父も無茶苦茶なヤツでな」

「……」

アキトは再び口をつぐみ、小さな拳を握りしめた。

大粒の涙が頬を伝う。

「しょうがねえな」

達也は短く溜息をついた。

「いいことを教えてやるよ」

涙を親指で拭ってやる。

「誰かに何かを頼まれたり誘われたりした時はよ、まず最初にこう言うんだ」


『いいよ』


あいつは、いつだってそうだった。

< 187 / 339 >

この作品をシェア

pagetop