ハルジオン。
ビクリと動けなくなった百合子の横で中身を滅茶苦茶にかき集め、カンペンと一緒にボロボロのランドセルにそれを放り込む。

「僕なんかと一緒にいたら……」

言いかけて口を閉ざした。

わけも分からず、またさっきの悔しさが胸にこみ上げてきた。

「……じゃ」

立ちすくむ百合子に背を向け、達也は河川敷を後にした。

途中で一度だけ振り返ると、長く伸び始めた赤茶色の鉄橋の影に、百合子の姿が小さく見えた。

< 26 / 339 >

この作品をシェア

pagetop