ハルジオン。
「ダメだよ。僕はお医者さんに行っちゃいけなんだ」

「どうして?」

「知らない。なんかホケンがどうとかって父さんが言ってたけど……よく分からないんだ」

「でも」

「いいよ。歩けるから」

達也は痛みを堪えて立ち上がり、河川敷の土手を上りはじめた。

体を揺らした拍子にランドセルが傾き、ベコベコになったカンペンが落ちて散らばった。

「待って」
「来んなってばっ!」

もう一度達也は大声で叫んだ。

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