ハルジオン。
「一緒に来るか?」

「……え?」

目を上げると、優しく微笑む達也の顔がそこにあった。


ずっと好きだった。

野に咲く白い春紫苑の花のように、達也はいつも空を見つめていた。

どんなに虐められても、
モグラと呼ばれて笑われても、
私の前ではぐっと拳を握りしめて、しゃんと背筋を伸ばして、真っ直ぐに顔を上げていた。


「……うん!」

百合子は迷わず身を乗り出した。

差し出した達也の腕が力強くその腰をかき抱き、車内に引っ張り込む。

そのまま抱き合い、二人は熱いキスを交わした。

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