ハルジオン。
そっと側壁に触れてみる。

雲母だろうか、黒っぽい石がボロリと剥がれ落ちた。

そう言えば、この石を使ってよくお店屋さんごっこをしたものだった。

靖之が客で、達也が店長。

百合子は確か……

そうそう、なぜか一人、花屋さんをやっていたっけ。

「はは」

思わず笑みがこぼれた。

たわいもない記憶ではあるが、それも今となっては懐かしい想い出だ。

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