剣と日輪
(学生はこれだからな)
 公威は半分大人達の甘ったれ根性が、自衛隊の猛訓練によって粉砕(ふんさい)され、この中から御国に役立つ人材が輩出する未来を願掛(がんか)けせずにはおれなかった。
 学生達の入隊期間は七月二日より一週間。六月三十日の夜行列車で上野駅を旅立つ段取りとなった。配属先は戦車部隊らしかった。
「北海道の原野を戦車で走り回ってやる」
 必勝はとことん楽天的である。ともあれ、志士の雛(ひよこ)達のファーストステップは、北海道と定められたのである。それは必勝と公威の水魚の交わりが、奔流へと流れ始めた日でもあった。

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