戦国千恋花
目覚めの光景
夢をみた。

そう遠くない過去の
苦い記憶。

―…自分が
『特別』じゃないって
解った出来事。


今日は、
冬休み前の学期末試験。
みんなピリピリして
一時間目のテストを終えた。

まだ試験は終わりじゃあない。

早く次の時間の追い込みをしなければ。

少ない休み時間を、
みんなが待ち望む。


だが、
集められた答案用紙を数える試験監督の先生の手は、
なかなか止まらない。

みんなが口々に言う。

「早くして下さーい」
「次、移動なんですけど…」
迷惑そうだ。

先生は言った。

「順番が揃わないんだよ」
言ったのは、それだけじゃなかった。

「後ろから二列目、集めかた間違っただろ。」

ただでさえ苛々しているみんなの顔が、
私の方を向いた。

私は端から2番目の席。
ズレるなら私が原因と考えられるのは当然。

普段話さない子から

いつも一緒にお弁当を食べている子までもが

私を一瞥し、近くの子と何か話している。


―…そんな事、言う必要あったの?
なんで、考えてくれないの?

黙って並び替えていればよかったじゃん…っ。


先生、
私が他の子から
なんて言われるだろうとか、考えないの?

学校で盗難があったって、
結局は
『犯人捜しはしません』だったのに。

こんなの、言ったも同然だよ。

ウザイ。
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