桜の咲く頃 ~君に~


彼の家は12階建てのマンションの


4階406号室だった。


4階まで上がるエレベーターの中に


さっきとは違うぎこちない空気が漂う。


張り詰めた空気はエレベーターを降りても解けなかった。


「ココ、俺ん家。入って」


「ん。」


びしょびしょの靴はすごく脱ぎにくい。


狭い玄関で2人して靴に苦戦している。


「スニーカーなんて履いてるんじゃなかったな」


もう脱ぎ終わったのか


マットの上で私のスニーカーを見下ろす。


「そだね。」


自分でも素っ気無いって分かってる。


わざわざ家に上げてくれたのにこんな態度とって。


なのに


彼は甘い笑顔を絶やさない。




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