桜の咲く頃 ~君に~
リビングに通されると部屋は白と黒でシックに揃えてあって
ちょっと大人な香りがした。
ここ数カ月
人の家に上がってこんなに安心したのは初めて。
「ほらぁ、バッグも濡れちゃってんじゃん。かして?」
立ち尽くす私の手から黒いバッグをとるとヒーターの前の椅子に掛ける。
表面の水分をタオルで包むように拭いていく彼の姿がなぜか落ち着いた。
「…ありがと。」
なるべく素っ気なさを出さないよう努力しつつお礼を言う。
そんな努力を知ってなのか彼は小さく微笑む
「どういたしまして。風呂行きな?風邪ひく。」
ほら。
不意打ちで優しく気を使うんだ。