涙の宝器~異空間前編
店員は三万円を提示してきた。

涼はただただ凍りついた。
全身に恐怖が走り、とりあえず持ち金の三万五千円の中から支払った。

領収書をもらうとすぐさま二人を捜した。
そもそもトイレはどこにあるのだろうか。
店内は暗く、二人に逃げられる不安が更に足元を暗くさせた。

正気を取り戻し、入口で二人を待つ。
しばらくして、二人が戻って来ると一安心してかけ寄った。

「三万払ったから一万ずつ返して」

なぜか二人の反応が怪しい。

「聞いてる?一万ずつ返して」
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