しあわせ色の恋~想いよ、永遠に~
鞄をむんずと掴んで、壮吾の部屋を走り出た。
壮吾の顔を見ることができなかった。
心に傷がつくのは、わかってたから。
ドン――。
壮吾の部屋のドアを出た直後、おもいきりおでこを何かにぶつけた。
「……レオ、くん」
私の目の前には、不審に眉をひそめるレオくんが。
妙に張りつめた空気に、私の顔と、部屋の中にいる壮吾の顔を交互に見ている。
その瞬間、今までになかった感情が、私を襲った。
今更震えが来て、恐怖に足がすくんだ。
突然現れたレオくんに器用にほほ笑む事が出来なくて、横髪で顔を隠しながら、レオくんの横をすり抜けた。
壮吾の家を出て、全力で走る。
さっき、壮吾の部屋から見た飛行機雲はまだ波を打って残っていた。
太陽を見上げる向日葵も、嗚咽をこぼしながら住宅街を走り抜ける私を一瞬だけ振り向いた。
かつかつとアスファルトを鳴らすヒール。
全力で走るあたしを邪魔する。
あぁ、もう――…
何もかも嫌だ。