しあわせ色の恋~想いよ、永遠に~
「どうした? 腹でも痛いのか」
「はっ?」
俯く頭上からかかった言葉に、私は意味がわからず、顔を上げて眉をひそめた。
「なんか、暗くね?」
そう言って、私の顔を覗き込んでくる。
その瞬間に、廊下と教室から『はっ』と息を呑む音が聞こえてきた。
嫉妬の矢が、私の体に突き刺さる。
その矢をかわそうと先輩から視線をそらしたのに、それは逆効果だったみたいだ。
俯く私の顔を、ずっと追ってくる。
「つまんねーんだろ」
またしても、意味のわからない事を。
「学校の見学なんてしなくてもよくね?場所なんて、嫌でもそのうち覚えんだし。 な、コウ」
コウ先輩に同意を求めて投げかけている。
けれど、私はそんな事で俯いてんじゃないんだよ。
この視線だよ。さっきからチクチク刺さってる鋭い視線。
普通はさ、いち早く異変に気付いて身を引くでしょうが。
あー、見てるよ。
教室の中から、美味そうな獲物を見つけたハイエナのごとく、目をギラギラせてこっちを見てるよ。
私、確実に取って喰われる……。