しあわせ色の恋~想いよ、永遠に~


駅を出たところに、一台のタクシーが停まっていた。


住所の書かれている紙を運転手さんに見せ、そこまで連れて行ってもらうことにした。


やっぱり、駅から、その場所は見えていた。


運転手さんが指差す先には、3階建てのアパートが。


少し距離はあるものの、視界を遮るものが何もない田舎だったので、はっきりとアパートを見ることができた。


あそこに、レオくんのお母さんがいるんだ。


一人暮らし?

それとも……


舗装されていない道をタクシーが進んでいき、何度も隣のレオくんの肩にぶつかった。


ごめん。 と謝りながらレオくんを見上げる。


体が左右に揺れ動く中、レオくんは目だけを私に向けた。


ほほ笑むその目が、不安でいっぱいだ。





「道が悪くて体が痛くなったでしょ」


マンションの前に着き、料金を支払う私達を振り返りながら運転手さんが言った。


曖昧に笑って頷く。


「もう少ししたら、きれいになるみたいだけどね。はい、500円のおつりね。どうも、ありがとう」


運転手さんからおつりを受け取りそそくさと降りると、すぐにパタンとドアが閉まり、タクシーはまたガタガタと車体を揺らしながら戻っていった。





< 333 / 400 >

この作品をシェア

pagetop