しあわせ色の恋~想いよ、永遠に~
駅を出たところに、一台のタクシーが停まっていた。
住所の書かれている紙を運転手さんに見せ、そこまで連れて行ってもらうことにした。
やっぱり、駅から、その場所は見えていた。
運転手さんが指差す先には、3階建てのアパートが。
少し距離はあるものの、視界を遮るものが何もない田舎だったので、はっきりとアパートを見ることができた。
あそこに、レオくんのお母さんがいるんだ。
一人暮らし?
それとも……
舗装されていない道をタクシーが進んでいき、何度も隣のレオくんの肩にぶつかった。
ごめん。 と謝りながらレオくんを見上げる。
体が左右に揺れ動く中、レオくんは目だけを私に向けた。
ほほ笑むその目が、不安でいっぱいだ。
「道が悪くて体が痛くなったでしょ」
マンションの前に着き、料金を支払う私達を振り返りながら運転手さんが言った。
曖昧に笑って頷く。
「もう少ししたら、きれいになるみたいだけどね。はい、500円のおつりね。どうも、ありがとう」
運転手さんからおつりを受け取りそそくさと降りると、すぐにパタンとドアが閉まり、タクシーはまたガタガタと車体を揺らしながら戻っていった。