しあわせ色の恋~想いよ、永遠に~


「先輩…… 大丈夫ですか?」


ベッドに近づき声をかけると、私の声に反応して、布団の中でもぞっと動いた。

先輩の唸り声がこもって聞こえる。


「先輩。 あの、みかん持って来たんで」

「うーん。 サンキュ……」

「食べられるようになったら、食べてくださいね。この机の上に置いときますから」


私は、布団にくるまったままの先輩に言って、買ってきたみかんを部屋の中央にあるテーブルに置いた。


すると、突然布団の中から先輩の手が伸びてきて、私の手首を掴んだ。


びっくりして振り向くと。

熱でほてった真っ赤な顔が、少しだけ布団から出ていた。


「今、むいて」


声がガラガラだ。





< 99 / 400 >

この作品をシェア

pagetop